ガラスの動物園チラシ
ガラスの動物園チラシ裏

「ガラスの動物園」パンフレットより


■ろうそくの火に思うこと


1945年3月、「ガラスの動物園」はニューヨークの

ブロードウェイで幕をあけた。同じ年の3月に日本

では東京大空襲があった。


このことがずっと頭のなかで引っかかっていた。

わたしの実家は東京の浅草にあった。親戚もこの

時の空襲で死んでいる。


この作品の登場人物トムは〝冒険〟に憧れている。

戦争が始まれば〝冒険〟は自分たちの手に届くもの

になると言っている。トムは果たして戦場に行った

のだろうか。その疑問から、今回はこの作品を改めて

見つめ直してみた。


舞台は1939年。この年の9月に第二次世界大戦が

はじまっている。ときはまさに戦争前夜。それでも

アメリカではまだ戦火は遠く、不景気の中でも人々

はこの劇でも描かれているようにごく普通に暮らし

ている。


この劇はトムの回想の物語だ。トムはときを隔てた

ところから、過去の自分と家族の日常を眺めている。

失われていくものたちを見つめている。


日常はやがては失われていく。それは運命なのかも

しれない。だが運命はいつもひとりの人間の力では

どうにもならないものによって動かされている。

戦争によって、運命の歯車はわたしたちの思いとは

別の方向へ動き始める。


もしも戦争がなかったらこの家族はどうなっていた

だろうか。なにも変わらなかったかもしれない。だが

戦争によって否応なしに歪められていくものが、今

の世の中には満ちている。「戦争」というフィルター

を通して、この作品を見る時、消えることのない戦火

への行き場のない憤りがわいてくる。


                   長野和文



■スタッフ


演出/美術・・・・・長野 和文

照  明・・・・・・大野 道乃

音  響・・・・・・髙沼 薫

衣  裳・・・・・・左右田 歌鈴

舞台監督・・・・・・高橋 佑太朗

制作協力・・・・・・潮田 塁

宣伝美術(画)・・・濵口 真央

記録写真・・・・・・Studio LASP

記録映像・・・・・・井野口 功一

企画制作・・・・・・池の下


■キャスト


アマンダ・ウィングフィールド・・・稲川 実加

ローラ・ウィングフィールド・・・・青木 五百厘

トム・ウィングフィールド・・・・・SUMIO

ジム・オコナー・・・・・・・・・・岩切 チャボ


■協力


著作権代理 株式会社シアターライツ

      日本文藝家協会



■助成


  助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

  【東京ライブ・ステージ応援助成】


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PROFILE