不可能を描きたい。常々そう思ってきた。
いまだかつて無いもの、そして今でも無く、
これからもきっと無いであろうもの。
そんなものを作りたい。
いまの世の中いろんなことが可能になった
ように見えて、その実はどんどん不可能が
増えているのではないか。科学についても、
政治についても、様々なものが可能になる
につれて不可能の闇は広がっていくように
思える。原発が何を生み出したか、遺伝子
操作が何を生むのか、人間を見ないで爆撃
ができる無人機はゲーム感覚の殺戮を生み、
敵と味方に武器を売ることでテロと戦争は
果てしなく続いていく。可能なことが多く
なるにつれて、不気味な不可能の壁は大き
くなっていく。
この芝居は、妹と兄の恋愛を描いている。
不可能な恋愛である。幸せの実を結ぶこと
はない。しかし、不可能であればあるほど、
互いの想いは恐ろしいまでに強固になり、
逃れることはできなくなる。煉獄に繋がる
恋愛。そして、この物語では別れるという
選択肢を取る。しかし、それは終わりでは
ない。そのときから魔の永久運動が始まる。
終わることのない運命が動き出す。出口は
ない。この終わることのない不可能に現代
の人間の縮図を見たような気がする。
池の下ではこの先も不可能性に臨みたいと
思う。だが、ここpit北/区域も今年でなく
なり、タイニイアリスも閉館してしまった。
魅力的な空間がなくなる事は惜しいことだが
新たなパワースポットを見つけて来年あたり
は初めてのオリジナル作品を上演したいと
思っている。
■スタッフ
演出/美術・・・長野 和文
照 明・・・・安達 直美
音 響・・・・高沼 薫
舞台協力・・・・田中 新一(東京メザマシ団)
制作協力・・・・山田 杏子(鼬屋)
宣伝美術・画・・上村 一夫
記録写真・・・・鏡田 伸幸
記録映像・・・・井野口 功一
企画製作・・・・池の下
■キャスト
女 稲川 実加
男 平澤 瑤
◆協 力
著作権代理 ㈱フランス著作権事務所
上村一夫オフィス
高津映画装飾株式会社(中村 エリト)
株式会社ロングランプランニング
二都物語
◆提 携
東京バビロン