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池の下 第28回公演
作:ハロルド・ピンター(翻訳:喜志哲雄)演出/美術:長野和文
人間の奥底に潜む真実にせまるシリーズ。これまでアゴタ・クリストフ『エレベーターの鍵』、
マルグリット・デュラス『アガタ』、ハロルド・ピンター『灰から灰へ』を取り上げてきました。
フィジカルでシンボリックな舞台は作品に新たな命を吹き込んできました。今回は2回目となる
ピンター作品『いわばアラスカ』を上演します。
1930年、ロンドン生まれ。俳優としてキャリアをスタートし、57年、処女戯曲『部屋』で
劇作家に転身。『管理人』(59)で注目を集め、その後『帰郷』(64)などの作品で地位を
確立。追いつめられた人間をめぐる不条理を、恐怖とユーモアのうちに描く独特の作風は、その
名を冠して"ピンタレスク"と呼ばれる。『景気づけに一杯』(84)以降は政治色の強い作品を
次々と発表。ラジオ・テレビドラマ、映画の世界でも活躍、人権活動家としても著名で、イラク
戦争開戦時にも積極的な反戦活動を展開した。他の代表戯曲に『誰もいない国』(74)、『背
信』(78)、『灰から灰へ』(96)などがある。05年ノーベル文学賞受賞。08年、逝去。
「いわばアラスカ」は、ピンター自身が断っている通り、オリヴァー・サックスの著書『覚醒』
(邦訳題名は『レナードの朝』)から──特に「ローズ・R」と呼ばれている患者の症例について
の記述から──着想を得て書かれた。もちろんサックスの記述とピンターの戯曲との間には色々な
違いがある。たとえば、「ローズ・R」はアメリカ人だが、戯曲のデボラはイギリス人だ。また、
デボラの「覚醒」は一挙に起るが、「ローズ・R」は長い時間を経て「覚醒」に至る。戯曲はサッ
クスの本を参考にしてはいるが、基本的にはピンターによるフィクションである。
1982年10月14日 ロンドンのナショナル・シアターにて初演。
(『ハロルド・ピンター 2 景気づけに一杯/山の言葉 ほか 喜志哲雄訳 ハヤカワ演劇文庫』より)
出演:稲川実加、SUMIO、赤松由美
照明:安達直美
音響:髙沼薫
舞台監督:田中新一(東京メザマシ団)
制作協力:潮田 塁
宣伝美術(画):濱口真央
著作権代理:株式会社シアターライツ
協力:コニエレニ、トツゲキ倶楽部、Re:Play、オフィス・イヴ
企画制作:池の下